イギリスの持続可能な未来的暮らし−食

将来の子どもたちも自分も気持ち良く暮らせる未来へ向かう(=持続可能な社会)、新しい暮らしのあり方を探って、ここでは「食」という観点から、それにまつわるイギリスにおける取り組み・団体などを整理しておこう。


イギリスではドカンと目新しいアイデアをやるよりも、小さいところから広げていくプロセスを取っている取り組みが多いように思う。美味しく、健康によく、楽しい食のある生活を支え、更には環境・社会にもプラスになる取り組みを紹介します(カフェ・レストランを除く)。

  • 商店/スーパーマーケット
    • The People's Supermarketは、地域コミュニティづくりというミッションを掲げた社会起業型スーパーマーケット。国内の農家と都市の消費者との接点として、地域コミュニティに質が良くヘルシーな食材を手頃な価格で届けるための持続可能な食の仕組みを提供する。ビジョンには、コミュニティの人々がヘルシーなものを手に取れるよう商品及び情報を提供していくことや、エネルギーなどにおいても持続可能な方法で調達できるものにすることも掲げている。コミュニティづくりをする上で鍵となるのが、ボランティアを伴う会員制度。米国のとあるスーパーマーケットの仕組みに習ったもので、会員になるには、年会費の他、店舗にて一定時間のボランティアをすることが求められます、その代わりにディスカウントが受けられるというもの。ボランティアをすることで、自分たちのスーパーマーケットになるわけですね。なお、会員でなくても買い物はできます。Channel4のテレビ番組にもなっていて、立ち上げ当初から訪れていますが、格段に成長している。開店初期は棚に並ぶ商品も少なく、そもそも店として機能しないのではと個人的に心配したほどでしたが、その後、キッチンが備わりデリ販売もはじまり、店内は活気づいている。地域コミュニティとのゆるやかなつながりを求める自分としては、こんなのあるといいなのスーパーマーケットの一形態。
    • オーガニックに特化したチェーン店といえばPlanet Organicでしょうか。アメリカからWhole foodsも店舗を展開していますね。スーパーマーケットでも、特に高級志向のところでは(ウェイトローズなど)オーガニック商品を揃えているところがあります。
    • 地域コミュニティ・環境への取り組みが活発なスーパーマーケットとしては、店舗数は少ないようですが、Thorntons Budgensに注目。地産地消を推進し、100マイル以内の生産者から1500以上の商品を扱ったり、Made in Londonとして商品紹介もしています。更には地域コミュニティと連携し、スーパーマーケットの屋上を農園としたFood from the Skyというプロジェクトにも着手。ここで作られた野菜を利用した商品は全てこのプロジェクトに還元される。子供向けの教育施設にもなっているそう。再生エネルギーも利用し、環境に配慮した地域のスーパーマーケットとして着実に未来へ前進しています。
    • ナチュラル志向の食材店は、上に述べたようなチェーン店だけではなく、いろいろな地域に個人商店があります。私も愛用しています、近所の個人商店。多数あるのでここではまとめませんが、このような商店ではオーガニック食材、ベジ、ローフードなどの他に、洗剤などの量り売りの仕組み(Refillできる)を導入している店が多いんですね。ゴミを増やすストレスが減っていいんだな。
  • 生産者が直接販売するファーマーズ・マーケット
    • ロンドン・ファーマーズ・マーケットは、各地で定期的に開催されています。鳩、キジなど地元の食材を見て回るのも楽しいし、その場で食べられるスナックもあるから、訪れるのが楽しい。
  • キャンペーン
    • イギリスでは社会・環境問題の解決に向けて、パートナーシップを組み展開するキャンペーンが活発。前にも書いたように、Sustainは、よりよい食と農に向けた様々なキャンペーンを実施している。本物のパンに対する啓発を行うReal Breadキャンペーン、地域で蜂を飼うCapital Bee, 菜園を増やすCapital Growth、持続可能な漁業による魚介類をロンドンで推進する取り組みSustainable Fish Cityなどがあります。例えば、2011年の3月には、他の団体と組んで、40名のシェフなどケータリング・レストラン関係者向けたトレーニングイベントとして、早朝から魚市場にて、漁業関係者に会い、様々な種類の魚介類を見て、目隠しで魚の名前と種類を当てるといった企画が開催されている。参加者の一人は、現在危惧されている魚の代わりに、ホウボウやカレーなどの他の魚介類を扱ったメニューを出してみたいと言っています。また、消費者の魚に対する意識については、食ジャーナリストでもあり、自給自足がテーマのテレビ番組「リバー・コテージ」でお馴染のHugh Fearnley-Whittingstallが展開する Hugh's Fish Fightも大きな影響を与えているようです。2011年の夏には、イギリス初のロンドンのいろいろなレストランで、Capital Beeのはちみつをつかった「ロンドンハニー・スペシャルメニュー」もいただけるというイベントも実施。いい企画!*1


ちなみに、guardianによれば、オーガニック食品の販売は2008年を頂点に低下する一方、太陽光パネルやヒートポンプなどの商品や、フェアトレード、持続可能な漁業による魚介類などの「エシカル」な商品・サービスの売上は前年よりも増加している。グリーン葬儀も成長しているそうだが、なんぞや。