堺市のBLACKSMITH訪問

お正月に帰省した折に、堺市まで足を運び、四国の篪庵で出会ったサンタフェ出身の鍛冶屋のShehanさんを訪れました。(鍛冶屋は英語でblacksmith! 日本語も渋くていいですが、英語もいい。)

サンタフェから彼を誘き寄せた日本の鍛冶、堺市の鍛冶屋さんの魅力を知りたく、また、私自身、ものづくりや日本の伝統工芸・技術への興味は尽きず、現場を見てみたいという思いから、訪問。


サンタフェ出身のBLACKSMITH
Shehanさんは、13歳から近所のblacksmithの所へ出入りしていて、今、堺市の芦刃物製作所にて技を磨いています。海外出身のとある鍛冶屋さんを訪ね福岡に来たのがはじまりで、紹介を重ねて今のところへ辿り着いたのだそう。

製作以外に、作品作りも行い、芦さんらと互いに刺激を受けている。(海外から人を受け入れる側はどんな方なのだろうと思っていましたが、ご自身もイスラエルアメリカへ足を伸ばすなど、異なる視点を吸収する姿勢が感じられる方でした。後にも書いているように、製作所の皆さんが温かい。)


彼の作品の一つに、練習で利用した鉄片を螺旋や曲線で並べたものがあります。有孔虫(foraminifare)※の化石にちなんだもので、
「有孔虫は、その化石を調べると、現在の環境の状態というのが良くわかる」
「作品から、自身の今がわかる」
という思いをこめて作った作品。


「毎日、上達したとは思わないけれど、作品をみたら上達がわかる」という彼の言葉を聞いて、形に残すことの、うらやましさを感じました。

日本で学んだ後は、ヨーロッパでの修行も視野に入れているとのこと。わずか1年半にして、日本語も相当上手いのですが、学ぶ姿勢には頭が下がります。



■鍛冶屋さん初訪問
入り口のショーウィンドウには、包丁以外に福来(フクロウ)の文鎮などが並べられていて、興味がそそられます。入り口を開けると、商品棚の奥に作業場が伸びています。長屋です。(堺市の鍛冶屋さんはどこもそうなのでしょうか。)
壁際に設備が隙間なく整えられています。

年明け早々、芦さんが作業をしています。

当たり前かもしれませんが、一つ一つ手で作っている、その光景をみると、手作りの包丁の重みを感じました。

年季の入ったCDラジオデッキがありました。毎日の作業の中、聞いているのですね。

使い勝手はもちろん、出来上がるまでの過程や、使い終わった後のことも考えて、物を選べる環境が必要。手作業だからこその価値というのは、質そのものの他に、長期に渡って使えることを支えてくれるメンテナンスや、思い出の品を形を変えた物として作り変えてくれたりするサービスかな。

その価値がわかるようになりたいものです。


■職人さんの仕事始め
伺ったのは、正月明けの仕事開始日、1月5日。

その日は仕事はじめということで、午前中働いた後、お昼にお寿司を囲み、製作所の皆さんで新年をお祝いする大切な日。そんなときにお邪魔したにもかかわらず、製作所の皆さんはとても好意的に私をお祝いの場に受け入れてください、うれしいばかり。

作業場の2階にある畳のお部屋でお寿司や揚げ物を囲んでお祝い。

一年間のうち、たった一日、仕事始めの日だけ、いつもと異なる働き方というのは、いいですね。一年というリズムが出来るような気がします。



熱い思いを持った人たちからパワーをもらい、良い一年がはじまりそうです!


※有孔虫は、日本語でさえ初めて聞きましたが、主に海にいるアメーバのような原生生物の一種