仏教入門

今、機会探しをしながらも、興味のある講座をみつけては参加していて、そのひとつが仏教入門/Introduction to Buddhism。仏教への興味のきっかけは、ユーラシア大陸を旅して、仏教が生活の一部になっているチベット(若い人の生活からは離れつつある)、ブッダが悟りを開いた聖地ブッダガヤを訪れたことが大きい。ロンドンで、無料で仏教入門が学べることを知り、「はるばるインドから中国を渡りやってきて、日本で育った私の行動に影響を与えている仏教が西洋ではどのように受け止められ教えられているか」、「仏教における環境・自然の捉え方を知りたい」、「自分のことを知りたい」という興味から参加しました。


仏教の知識がある人にとっては当たり前のことかもしれないけれど、結構面白かった点があるので最初に整理しておきます。

<特に響いた点>

  • リアリティ、現実とは、人によって違うもの。つまり、人の心の状態に大きく依存している。自分の頭の中以外の何物でもない。全ての現実がわかる、ということはない。
  • 生きる上でどんな人も何かしらの苦しみが伴う。苦とは内にあり、自分の内面の姿勢次第で減らせる。苦しみには、レジの長蛇の列で並ぶイライラ感をはじめ、病気で味わう辛い気分などいろいろな種類があるけれど、メカニズムとしては全て同じもの。遥か昔から今に至り、苦しみが無い時代というのはない。それを軽減するために、自分自身の心の状態を鍛錬するのがmeditation(=mental development)。悟りを開けなくとも、その道を辿ること自体が、暮らしの中の自分の心を和らげてくれる。
  • 苦しみは、因縁の縁であって、縁は因を変えることによって変わりうる。例えば、自分がしたことを悔むといった行為は、その悪い行いに対する報い/Karmaを減らすことが出来る。まずは、苦しみに気づくことが大切。
  • 内面の訓練は、座禅だけでなく、日々、小さいところからできる。

<仏教入門クラス>
参加したのは、Victoria駅近くにあるThe Buddhist Societyが提供するIntroduction to Buddhismというクラス。毎週火曜日夕方に、各1時間の講義。参加者は、20〜50代くらい。仕事帰りに立ち寄っている知的好奇心が高そうな人をはじめ、ややスピリチュアル系の風貌の人、おばちゃん、学生などで、その多くはイギリス人です。人数は初回20名くらいでしたが4回目くらいから半減。

講師はインド系イギリス人ですが、話がストンと入ってくるのは、彼が禅を学んでいたことと関係があるのかもしれません。日本の住職さんの講和のように落ち着いた口調だからでしょうか。あと、仏教を英語で聞くと、分からない単語もありますが(日本語でもわかりにくい)、そぎ落としてシンプルな言葉で伝えられる部分もあってわかりやすい気がします。

<各回のテーマ>

  1. 仏教とは?ブッダの生涯
  2. 三法印・・・物事の3つの性質(法の三法)
  3. 四諦・・・人間を苦から救うための考え方
  4. 八正道・・・苦を取り除くための道
  5. 輪廻、因果応報と再生・・・
  6. 波羅蜜・・・成仏を求める修行者/菩薩/ bodhisattvaが修めなくてはならない実践項目。禅は、八正道ではなくこれに従う。
  7. 瞑想、ここからどこへ向かう?

<仏教興味へのきっかけ>
はじめに書いたように、仏教入門コースに参加したのは3つの興味からです。
a) ヨーロッパで仏教?
海外では、日本の仏教といえば座禅を基本的な修行とする禅が主流で、禅はブームになっている感があります。何が人を動かすんでしょうか、どんなところが抽出されて伝わっているのかと言う興味。私自身も禅宗ではない。宗教の根底にある道徳的な考え方は、宗教離れした私たちの生活にもっと入っていていいと思う。中東は、イスラム教がまだ生活の一部である国が多く、人が穏やかだった印象があった。

b) 仏教における環境・自然の捉え方
スウェーデンの教育やサステナビリティへの包括的な考え方を学んで大絶賛していたけれど、自分の環境問題に対する意識・気づきの底辺にあるものはどこで培われたのかと思い返したところ、これまで育ってきた周りの環境、つまり日本の文化の中に根付いているはずと思い、その背景にある仏教を探ってみたいと思う。これについては、この仏教入門コースでは触れられなかったので、今後このテーマに触れられる機会を持ちたい。

3) 自分のことを知る
以前、ロンドン在住の日本の住職さんに「仏教で大切なのは自分を知ること」という基本を教えてもらったのですが、この言葉の通り自分のことを知りたい、という好奇心も大きな理由かな。